共鳴X線回折

共鳴X線回折は,通常のX線回折とは異なりエネルギーを原子の吸収端に合わせて利用します.その特定の波長を使うと共鳴吸収によって特定の電子状態(スピン,軌道,電荷など)の秩序を観測することができます.そのとき散乱因子が偏光依存性をもつことから,電気四極子(CeB\(_6\)),磁気八極子(Ce\(_{0.7}\)La\(_{0.3}\)B\(_6\)),電気十六極子(DyB\(_2\)C\(_2\))などの多極子の秩序を観測することができます.偏光依存性は,共鳴X線回折の重要な因子のひとつです.特に円偏光X線を使うと,偏光依存性が結晶キラリティの位相とX線偏光の位相のマッチングが生じます.この時,円偏光のヘリシティ(\(+, -\))と結晶の右,左ネジ構造で散乱強度に差が生じることが知られています[1].一方,光学活性という物理現象は,光が物質を透過する際に偏光面が回転することです.別の言葉で,旋光ともいいます.旋光性を用いてカイラリティを知ることができますが,共鳴X線回折との大きな違いは,共鳴X線回折では,結晶キラリティを絶対的に決定できる点です.この方法は,磁気構造キラリティにも応用することができます.

Experimental Diary

Soft x-rays